連絡先をなんとしてでも聞き出す作戦まで言い始めた絵里奈。

本当に実行しそうな彼女をこのままほっておいてはいけない


『絵里奈、待って!』

「えっ?やっぱりなんかあったの?」

『下柳先生じゃないの・・・さっきの発言・・・』

「さっきの発言って・・・食われてたぞってやつ?」

『・・・そう。それ。』


さっきまでのウキウキワクワク度満載の表情であたしに語りかけていた絵里奈が今日初めて不思議そうな顔をした。


「下柳先生と焼肉デートしたんじゃないの?」

『デートではないと思うけど、でも下柳先生とふたりで焼肉を食べた。』

「じゃあ、下柳先生の発言じゃないなら・・誰?」


普段、プライベートではあまり見ない絵里奈の真剣な顔。
ここで嘘をついたら、バレた時に本当にヤバいことになるだろう
親友はいつまでも大切にしたいし


『・・・・岡崎・・・先生。』

「はぁ~?岡崎先生って・・・」


予想外な人物名が突然出てきたせいか、絵里奈は眉間にクッキリと皺を寄せて般若の顔マネをする。

絵里奈の中でも岡崎先生って般若のイメージなんだ


「真緒のスーパーバイザーの?・・・!嘘~?!」

『ホントです・・・』

「何があったの?ちょっと、ちょっと・・・」


絵里奈はあたしの体を覆っていた布団と毛布を同時に引っ剥がし、授業で習った全介助の起居(起き上がり)方法であたしをさっさと抱き起した。
事情聴取するわよって意気込みがイヤと言うほど伝わってくる。


「目、完全に醒めたでしょ?昨日の夜のこと、白状しろ!・・真緒!」

『話すと長くなるんだけど・・・』

「いいわよ、今日、日曜日だから。ほらっ」


ベッドのすぐ傍に置いてあった懐中電灯をマイク代わりにして、あたしにインタビューに応えよというフリをしてみせた絵里奈に根負けして。
あたしは洗いざらいに昨晩あったことを白状させられた。