「岡崎さん・・・なんでここに・・・」
「うまい焼肉が食いたくなって来てたんだよ。」
「ひとりで・・ですか?焼肉ですよ?」
「・・・いや・・・ああ、悪いか、ひとりで。」
「まあ、最近はひとり焼肉する人が増えているって聞きますけど、ここはそういう雰囲気の店じゃないような・・」
誰が聞いても正論である言葉をさらっと紡ぐ下柳先生。
そんな彼を岡崎先生がギロッとひと睨み。
「いいんだよ、俺は。まお、帰るぞ。」
睨みついでにあたしもギロッと睨まれた。
ひとりで夜道を歩くよりも、この目の前の人に怒られるほうが身の危険を感じるよ・・・
せっかくの楽しくていっぱい学んだ1日だったのに
最後は地獄に落とされちゃうの?
「今日は僕が誘ったので、最後まで責任を持って送ります。」
あたしの危機感が伝わったのか、下柳先生が助け舟を出してくれる。
彼の責任感が充分に伝わってくるその言葉にはさすがの般若もそうしろって言ってくれるだろう
さあ、般若、言って!
“そうしろっ”
“じゃあ、下柳に送ってもらえ”って・・・
「まお!」
『は、ハイ!ハイ!』
「下柳に最後まで責任を持ってもらう必要性がお前にはない!」
『えっ?』
「美人にはこんなこと言わない。」
『はっ?』
下柳先生の、ど正論“送ります”宣言に対する般若のアンサーは
肯定形だと思って疑わなかった
でも、まさかの“必要性がない”という、あたしに対する否定形
しかも、“美人にはこんなこと言わない”とか
なかなかどギツくないですか?
まあ、あたしも自分が美人だとは決して思っていませんけどね~



