『下柳先生はずっと名古屋に住んでいらっしゃるんですか?』
「そう。緑区生まれ、緑区育ち。名古屋の端っこだけど、区の名前の通り、緑が多くて気に入ってるね。」
『名古屋もそんなとこあるんですね。うちに比べたらはるかに都会で。でも、都会って他人に興味がない人ばかりなんて偏見を持っていたんですが、患者さんもいい人が多くて。』
「そうか、良かった。神林さんは岐阜だっけ?」
『そうです。高山市生まれ高山市育ちなんです。私も高山が大好きで!美味しいものたくさんあって。古い町並みも雪が降ると幻想的なんです。お祭りも毎年楽しみで。ちょっと走ればスキーにも行けますし。』
プライベートな話題を口にしても気まずくならない心地いい会話。
午前中の訪問指導の際の公用車車内で緊張して何を話していいのかわからなかった状況が幻だったかのように。
「高山といえば、オシャレな刺し子のお店があるよね。」
『あります。古い町並みの中にあってお客さん結構います!もしかして、下柳先生もお出かけになったことあります?』
「うん、ある。患者さんの作業療法でその刺し子を使ってる。」
『あっ、そういえば女性患者さんが麻の葉模様の刺し子やっていらっしゃいました。あれ、下柳先生が導入したもの・・ですか?』
「そう。刺し子のお店で型紙をたくさん買ってきてあって、患者さんに選んでもらって型紙写しもやってもらうんだ。模様を選べるって楽しそうでいいよね。」
遠く名古屋でも地元高山の名産品が活躍していることにもうれしく思う
遠く名古屋から飛騨高山まで、憧れ的存在の下柳先生が足を運んで下さっていたことも・・・
でも、刺し子のお店は圧倒的に女性のお客さんが多いから、もしかして恋人と訪れたのかな?
『高山へはご旅行・・でいらっしゃったんですか?』
「そう。一度だけね。それまでは全然興味がないのに連れていかれた。でも、行ってみたら、これ、仕事で使える!って楽しくなって。刺し子以外にもまだいろいろあるのかな?」
『あります!あります!もし高山にお越しの際にがあたしが下柳先生をご案内しま・・・あっ・・・・』
緊張感から解放され、おしゃべりに夢中になっていたせいで自ら下柳先生の旅先案内人に立候補。
さすがに調子に乗りすぎたあたし。



