『・・・ひっ、ひっ、、、ううう~。』


あたしはただただ怖い存在だった岡崎先生の前で
激しく泣き崩れた。

頭が真っ白になるまで。


その間、岡崎先生は、手が届くところで
ずっと立っていてくれた。

いつもはなにかとあたしを急かすあの岡崎先生なのに
ずっと黙ったまま傍にいてくれた。


その時間は
今まで大学という籠の中でただ教科書と黒板をにらめっこして過ごしていたあたしにとってそれも初めての経験で
こんなにも見えない手で優しく背中を押される時間があるなんて
知らなかった。


『岡崎先生、あたし、明日、長谷川さんのところへ行きます。』

「・・・ああ。」


『それでまずは自分の存在を認めてもらえるように努力します。』

「・・・お~けい。」


初めて岡崎先生からもらった“お~けい”。

今まで突きつけられていた赤色のバツではなく
ぶっきらぼうな般若岡崎先生からの心がこもった“おーけい”

小学生の頃、書写の先生にもらった朱色のOKの文字よりも
素直に嬉しい“お~けい”

ただ、単純に頑張ろうと思えた。


実習9日目

初めて般若から授かったモノ
涙のち“お~けい”

心に響く“お~けい”を知った日