帰宅後、早速、岡崎邸のバスルームをお借りした。
トイレ、バスは別のユニットバス。
男性用のトニックシャンプのポンプボトルの横に置かれている新品の小さなアロマ系シャンプーとトリートメント。
それらのラベルの裏には、“まお・・の”・・と太字の油性マーカーペンで書かれている。
『わざわざ、ぶさいく文字で書かなくてもいいのに・・・』
脱衣所内の洗面所にも同じく“まお・・の・・”のマーキング済な歯ブラシと歯磨きコップあり。
それらによっても、岡崎先生のこの部屋にはあたしの居場所があるということを認めてくれているようで嬉しい。
おまけにドキドキもする。
毎日、ここで岡崎先生もシャワーを浴びたりしているんだとか思うと。
それがきっかけで想い出した。
今日の夕方から夜
手術見学したり、彼とショッピングやレストランディナーへ出かけたりして、あまりにも目まぐるしい時間を過ごしていてすっかりと頭の片隅に押しやられていた
『今日、あたし、どこで寝るんだろう・・・』
今日の夜は岡崎邸でお泊りさせてもらうことを・・・
おまけに、持参した鞄に入っているはずのルームウエアの上衣がない!!!
『どうしよう・・・明日の服はワンピースだし・・・』
鞄の奥深くにあると信じて、慌てないように心掛けながらもう一度ルームウエアの上衣も探すも見当たらず。
その代わりに鞄の中で手に触れたもの
リボンみたいな手当たりとふわふわしているラッピング袋のようなものの感触。
『何・・コレ・・・・』
急いでそれを取り出すと、自分では見たことのない上品な巾着袋が姿を現す。
その袋に紙が貼りついている。
昼間にも見たハート型のメモ。
【絵里奈ちゃんから郵送されてきたものよ~。ママからの勝負下着だけじゃなく、これも使って伊織クンを夜も朝もその気にさせちゃえ! その代わりに真緒のお色気ゼロの下着は預かった! From 伊織超絶LOVE 純夏ママ】
『あたしの下着が~!!! ・・・・・でも、代わりにということは、もしかして・・・』
お母さんは恋愛超初心者のあたしに対して
純夏ちゃん特製お弁当でお色気の足し算しておいて
ここにきてあたしの下着を没収という引き算をする
足し算だけじゃ終わらなかったんだ・・・・
『もしかして、足し算、引き算だけではなく、絵里奈はもっと複雑な計算をさせようとしているんじゃ・・・・』
そう思ったあたしは大急ぎで絵里奈から郵送されてきたらしい巾着袋のリボンを解いて開封。
するとその中からも手紙が出てきて、これも見覚えのある文字が綴られていた。
【真緒23才誕生日おめでとう!!! 同封したものを着て、大人っぽく岡崎先生を誘惑しなよ♪ 健闘を祈る! 絵里奈】



