「まお~。まだ、質問あるのか?」
『いいじゃないですかぁ~。』
「俺は芸能人じゃねえ。」
『あたしのアイドルです!』
「アイドル?! 俺はキラキラ輝けないし、キラーワードとか胸キュンワードとか囁けないし。」
『いいんですう~。キラキラして見えるし、アイドルのものとは違った意味でのキラーワードは散々囁いて頂いていましたから!』
「どういう意味だよ?・・・で、あとはなんだよ、まだある質問は。」
ホテルのレストランからの帰り道でも、あたしの岡崎質問タイムは続く。
帰り道はタクシーではなく電車に乗ってからも。
すっかり暗くなった岡崎先生の自宅近くを歩いている時の、彼からのしょっぱい返答すらも楽しくて。
『あ~楽しかった。美味しかった。勉強になった・・・嬉しかった・・岡崎せんせ~、ありがとうございます。サイコーな誕生日になりました!!!!』
「それは良かった。」
『今日はいろいろありすぎて、長くて短い1日で・・・短くて長くて・・・・ん?どっちだ?どっちもか?・・あれ~?』
「・・・おいおい大丈夫か?」
『今、何時~?』
「・・・22時・・だな。」
『もうそんな時間ですか?』
「真緒、朝、早かっただろうから眠そうだな・・・風呂入って寝るか。」
『そうしましょう~!!!』
本当に楽しくて充実した1日を過ごしたあたし。
薄暗い夜道で誰もいないことをいいことに調子に乗って、彼に甘えてみた。
「真緒、腕、ひっぱり過ぎ!歩けん!」
『えへへっ、もう歩けないので、引っ張って行ってくださ~い。』
「仕方ないな、甘えんぼまおは・・・ほら。」
『きゃ~!!!これも人生初めて!!!!おひめさまだっこ~!!!!』
「はいはい、夜だからお静かに。まおお姫様。」
眉間にはくっきりとした皺が刻まれているも、口元は明らかに笑っているという新しい般若顔を見せている岡崎先生。
そんな彼からの、お姫様抱っこで移動するという想定以上の甘やかしを受けながら彼の家まで帰った。



