その後、森村先生が執刀し、岡崎先生がスプリントを作成した手の外科患者さんの手術は無事に成功した。
「マオちゃん、お待たせ~!!!! 付き合わせちゃってごめんね。」
手術した患者さんを病棟まで送ってから私のもとに駆け寄って下さったのは、
手術着が汗でうっすらと湿っている森村先生。
『いえ、私のほうこそ、こんな貴重な経験をさせて頂いて、お礼を言わなきゃです。』
「そっか。それは良かったね。」
『はい!!!!』
「あっ、岡崎クンだけど、今、患者さんに自主トレーニング方法の指導をしているから、それが終わったら来てくれるみたいだから、このまま待っていてね。それじゃ、またね、マオちゃん。」
『はい!』
患者さんだけではなく、患者さんでもないあたしにまで気を遣って下さる森村先生はホントにいい人
患者さんの手指の腱を顕微鏡越しに見ながらすいすいと縫合していく彼は本当に凄いお医者さん
それなのにフレンドリー
この人は本当に凄い人なんだと改めて実感しているところに、
「真緒、待たせた。」
もうひとりの凄い人が駆け寄ってきた。
いつもの、スウェットパーカーにビンテージデニム姿ではなく、
紺色のジャケット、その下には白色のVネックシャツにアイボリーカラーのスラックスというお出かけスタイル。
「早速だけど、もうすぐ18時になるし、夕飯食べに出かけようか。」
背が高く、胸板が厚い彼の、Vネックから見える胸元がセクシー過ぎて悩殺されそうなあたし。
『は、・・・はい!』
「どうした?なんか変だぞ。」
『鼻血が出そう・・』
「鼻血?!なんでだよ。」
『セクシーすぎて・・・』
「は?意味わかんねーな。行くぞ、真緒。」
ついつい変態めいた言葉を発したあたしに不思議そうな顔でそう言いながら、あたし達は病院の玄関を出た。



