「純夏ちゃん~!!!! このデカイの、ホントなんとかしてくれ!!!」
「無理よ。あたしは岡崎くんLOVEだもん。相手の親の前で堂々とエッチしました宣言するんだよ? なかなかできることじゃないわよ~。惚れたわ、ホント。」
「エッチしましたとか・・・純夏ちゃんまで、そんなこと言うなよ・・・」
「岡崎くん、高山に来る時はあたしにも連絡して。家中の時計を全部1時間遅らせておくから!」
我が家のラスボス純夏ちゃんイコールお母さんの突然の登場に、さすがの岡崎先生もタジタジな様子で。
「どうせ、朝ごはん食べてないんでしょ?岡崎くん、コレ、帰りの特急電車の中で食べなさい。」
「おい、それ、純夏ちゃん手作りのお弁当・・・俺のだぞ!!!」
「パパのお弁当はちゃんと、別に作ってあります~。これは岡崎くんの!」
お母さんが岡崎先生に手渡そうとしているお弁当を奪い取ろうとしたお父さんは、お弁当を持ったままのお母さんのお尻でドンと横へ跳ね飛ばされて撃沈・・・
「岡崎くん、今度、高山へ来るときはこのお弁当箱を持ってきてね。また純夏ちゃん弁当作ってあげるから。絶対よ!約束よ~!!!」
「あ、ありがとうございます・・・頂きます。お言葉に甘えてまたこのお弁当持ってお邪魔します。」
「待ってる!!!! 待ってるわよ~伊織クン♪ ほら、伊織くんは午後からどうしても休めない仕事があるって松浦先生という先輩から聞いているから・・・早く行かなきゃ・・・」
「はい、お気遣いありがとうございます。名残惜しいですが、そろそろ帰ります。」
岡崎先生は照れ笑いしながらにペコリと頭を下げて、ラスボス純夏ちゃんから手作りお弁当を受け取った。
お弁当を渡し終わったお母さんは、あたしのほうを見て、お父さんに聞こえないように“いい男ね、伊織クン”と口パクで語りかけた。
朝帰り・・どうなることかと思ったけど
とりあえず丸く収まったみたいでよかった
そう思いながら、お母さんの口パクにうんうんと頷いていたところに
「そろそろ帰るじゃないだろ?」
「えっ?」
「そろそろ行ってきます・・だろ?」
「・・・お父さん・・・あっ、真緒のお父さん・・・」
岡崎先生に節操なし男のレッテルを貼ったはずのお父さんなのに、“また来てもいいよ”という想いがこもっているような “行ってきます“ の強要をし始めた。



