Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!



彼の腕の中で、朝の準備を促されたあたし。

彼と一緒に初めて迎えた朝
もう少し一緒に居たいと思う我儘なあたしと
午後から仕事へ行かせてあげないといけないと思うもうすぐ社会人1年生になるあたし

どちらのあたしも同時進行は無理


『岡崎先生、今度こそ名古屋へ帰っちゃう・・・次、いつ会えるかわからないのに・・・もしかしたらもう会えないかもしれないのに・・・』

彼にたっぷりと甘やかされたあたしは我儘なあたしになってしまう


「ホントかわいいこと言うなよ・・・立ち向かう・・・そう言ったろ。だから俺を信じろ。」

『立ち向かうって・・まさか・・』

「そのまさかだよ・・・節操のない男のレッテルをぶち壊して、次の真緒、その次の真緒、その次の次の・・・これからの真緒との約束を堂々とできるように、そして真緒が俺との約束を戸惑うことなくできるようにするために、真正面からぶち抜く。」


久しぶりに見た彼の般若顔
しかもあり得ないぐらい目がギラついている

節操のない男というレッテルがうちの父にべったりと貼りつけられてしまった今、彼はどうにかしてそれを剥がしてやりたいんだろう

それだけではなくて

名古屋と飛騨高山という距離がある岡崎先生とあたし

彼があたしとの約束が堂々とできるように
あたしが彼との約束を戸惑うことなくできるように
という彼の気遣いが、あたしの不安を減らしてくれる

今のこの、彼との甘い時間に浸っていることだけにこだわっていたら
彼の気遣いが台無しになってしまうかもしれない

距離に負けそうな、あたしたちのこれからの不安は
ひとりで抱えるのではなくて
ふたりで共有すればいい


『あたしも、立ち向かいます!!! 一緒に!』


岡崎先生がどうやって節操なし男のレッテルを剥がすかはわからなかったけれど、“俺を信じろ” という彼の一言を信じて、あたし達はまだ温かさと甘い香りが残る部屋を出た。