でも、岡崎先生は仕事のできる作業療法士で、その中でも数少ないハンドセラピスト
まだ作業療法士のスタートをきっていないあたしがそんな彼を独占しているのは、やっぱり良くない!
『ダメですよ。岡崎先生を待っている患者さん、いっぱいいるんですから
!!!』
「大丈夫だよ・・名古屋に帰ったら死ぬほど仕事することになってるし、この1年で俺の代行訓練ができるレベルにまで後輩をしごきまくって対応させてるから。でも、これからは真緒も一緒に考えろ・・俺は今まで仕事をズル休みしたことなかったから・・言い訳が思いつかない。」
ズル休みをしようとしている岡崎先生を心配しながらも
“真緒も一緒に考えろ” の “一緒に” が嬉しい
「まあ、とりあえず、先に名古屋に帰っているはずの松浦さんにLINEするか。」
とうとうズル休みを実行しようとしている岡崎先生のことを、それでいいのか社会人?!と真剣に心配し始めていたところに、岡崎先生のスマホでLINEの通知音アリ。
「松浦さん、リプライ、速いな・・・うわ~なんだよ、コレ、ないわ。」
スマホを持ったまま天を仰いだ岡崎先生は、様子を窺っていたあたしにスマホの画面を見せてくれた。
そこには
LINEの画面上に松浦先生らしき友だちが書き込んだと思われるメッセージ
【昨日の休暇理由は10日前に買った焼きそばパン摂取による腹痛だったろ。今日のはダメだ。リアルさが足りない。だから仕事に来い!】
その下にあったのは
【娘は節操のない男にはやらん!!! 娘が欲しけりゃ俺の屍を越えてゆけ!!! 真緒父】
という挑発的な文章が書かれた書初め用半紙を鬼の形相で掲げている父の写真
『やだ~お父さん!!!!・・・』
「松浦さん、最強のアイテムを手に入れやがった。」
『どうしよう・・・あたしも・・・』
「このままじゃ、ダメだ。真緒、急いで準備するぞ。」



