『・・・温・・か~・・・』
3月といえども雪が降ることもある高山。
まだまだ寒くて、肩や足が冷える感覚で目が覚めることもあるのだけれど、今は
その逆。
『お母さん、もう少し寝かせて・・・』
「・・・どうしようかな。」
お母さんに起床時間延長申請したはずなのに返ってきた声は低い。
それでも、いつになく怠い体がまだあたしの目を開けさせてくれない。
『あとちょっとだから・・・お父さん。』
「俺の屍を越えてから寝ろ。」
いつも朝、なかなか起きないあたしを起こしに来るお父さん。
いつもなら、“真緒ちゃんの好きなパンケーキ、パパが愛情込めてふっくら焼いたから早くおいで”とか“パンケーキのチョコソース、ハートマークで描いたから早く食べて!”とか、聞いているこっちが気持ち悪くなるぐらい甘ウザイお父さん。
『いつもと違う・・・ひどいな~・・・お父さんってば・・・』
「違うな・・・俺を屍にしてから寝ろ・・だな、真緒。」
あれ?甘ウザくない
しかも
「真緒、くんくん匂い嗅ぐな。俺、本当にお前に屍にされるし。」
あたしをメロメロにする大好きな匂い・・・
『あああ!!!!』
「真緒、頭に響くから叫ぶなって・・・完徹なんだから、俺。」
『だって、裸ですよ?今・・・』
「そりゃ、あの後、裸のまま寝たからな・・俺は一睡もしてないけど。」
『裸・・岡崎先生も・・・あたしも?!・・・』



