結局、桐悟さんは同じものを頼んだ

そして
「俺のこと」と背筋を伸ばして


小さな頃から穂高組を継ぐようになった経緯まで

詳しく話してくれた


特に・・・龍神会の話は
一度では理解できそうもなくて

大まかな縮図を預かることになった


「でも、こんな大切な物を預かっても大丈夫ですか?」


私にはそっちの方が心配で
メモ用紙を眺めてみる


「西の街《ここ》に住んでいれば
それに書かれていることは大体みんな知ってる内容だ」


「・・・え」


「胡桃は来年から此処で暮らすのに
知らないのはフェアじゃないだろう」


私の心配を軽くしてくれた


「桐悟さんの所属は一ノ組?」


「そうだ」


「二ノ組には傘下がないんですね」


「二ノ組は陰、全ての情報は此処に集まる
西の街に足を踏み入れた奴は全て調べられる」


「私のことも?」


「・・・そうだな」


「凄い人ですね」


「胡桃とそう年は変わらないはずだが」


「え」


そんな凄い人が私と変わらない年・・・


「しかも女な」


「え」


頭の処理能力が低下してきた


「小さく書いているのが通り名」


気付いてはいたけれど
“鬼”の付いている時点で
飛ばす予定だったのに

残念ながらそうはいかないようだ


そうして聞いた“鬼”の話


「桐悟さんは青鬼の側近なんですね」


「青鬼の側近は女嫌いで有名」


「そうなんですか?」


そう言われてみると穂高組は女人禁制だった


「それは次に話すとして
牛若丸と弁慶の話な」


「あ、はい」


話題が軽くなったことに喜んだ頃には
食事も終わっていて


デザートの焼きプリンが出てきた


「胡桃ちゃんはア・ラ・モードね」
なんて


成瀬さんは私のプリンだけ豪華なフルーツとクリームで飾ってくれた