午後からは荷物の片付けと
テキストを読んでいただけなのに

あっという間に時間は過ぎていて
三時過ぎには呼びに来てくれた陽治さんと一緒に厨房へと向かった


「ワァ」


冷蔵庫を開け閉めして
食品庫を眺める


いつ見ても此処の食材は魅力的で
創作意欲が湧いてくる


「クミちゃん。今日は何〜?」


以前とは違って作業ができる陽治さんと誠司さんと顔を見合わせること数秒


「「っ」」


アイデアを出してくれるかと若干期待もしたのに

先に視線を外した二人は
同じ動きでそっぽを向いた


・・・私と視線を合わせるのがキツい、とか?


不安になる気持ちをどうにかやり過ごして
作業に取り掛かることにした


ピカピカのステンレスの作業台に
食材を並べていく


ワクワクするのは久しぶりのことで
ちょっと鼻歌交じりの私


そんな私を手伝いながら
「ヤベェ」なんて呟いている二人には気付かず


料理の説明を始めた


「クミちゃん、これは?」
「クミちゃん、味見して」


一人増えただけなのに
三人での調理は恐ろしく効率的で

あっという間に夕飯が完成した


「じゃあ、また後で」


二匹のお世話のために一度部屋に戻ることにした


足音で気付いていたのか
扉の前で待っていてくれた二匹と一緒に


リビングの窓から外へと出た


「広いね」


途端に駆け出す二匹は本当に仲良し
縁台に腰掛けて遊ぶ二匹を見ながら

携帯電話で写真を撮った


建物で四方を囲まれた中庭は
以前、弁慶が居た外のお庭より狭いけれど


桜の木と芝生

穂高組全員でバーベキューも出来そうな広さだ


撮った写真を桐悟さんへ送ると
二匹にお水の用意をした


直ぐに駆け寄ってきて
荒い呼吸でお水を飲む様子を見ているだけで

暑さがジワリと攻めてくる


「やっぱり夜にする?」


トイレのこともあるから
なるべく外に出してあげたい


グッタリする前にと早々に
足を洗って部屋の中へと戻った