~翔side〜
本当、可愛い.......。
遊園地の乗り物を見てはしゃぎ回っている紗南。
自慢だが、俺の周りには黙っててもわんさか女が寄ってくる。男子諸君恨むでないぞ?
市ヶ谷ホールディングスの御曹司
たったそれだけの肩書きだけで、モデルや女優なんざが擦り寄ってくる。もちろん、それなりに美人な訳で。
でも、そんな奴らでも紗南に勝てる奴は見たことがない。
学校では地味で有名だった。大きな黒縁メガネに重たそうな目まで隠した前髪におさげ。大正・昭和時代くらいからタイムスリップでもしてきたのかと目を疑うほどの地味容姿。
ぶつかられた時はついイラッとして王子様の仮面をはずしてしまった。
そんな地味がメガネはずしただけであんな美少女が出てくるとは。人生ってほんと何が起こるかわかんねぇよなって身に染みて感じる。
紗南とぶつかった夜、俺は親父の手伝いを終え、繁華街をプラプラしていた。嫌なことがあった時は大抵繁華街に出向く。
そこで不良に絡まれたから、テキトーに撒いて逃げようかと思っていたところに現れたのが紗南だった。
圧倒的な強さで不良どもを倒していく。見とれるほど綺麗だった。
誰かのために、役に立てるならと言って自分を犠牲にしてしまうような澄んだ心を持つ紗南。
弱味を見せまいと必死に我慢する姿に愛おしさを感じた。
俺は紗南を.......
『好き』
.......になってしまったらしい。
ふっ
独りでに笑いが込み上げてくる。
俺を惚れさせたからには、絶対に逃がしはしない。なんとしてでも手に入れようと誓った。
〜翔side end〜