「恵理、配置チェックして」
宏貴が隣でパソコンに向かう恵理の方を見る。
すぐに恵理が宏貴の方を見る。
「了解」
恵理はキャスター付きの椅子を動かして、宏貴に近づく。
「ここ、位置変更かけたいんだけどいい?動作チェックしたら気になってさ。」
「うーん。じゃあ、私も少し変更かけたいかも。ここ揃えたい。」
「あー確かに。」
ひとつの画面を体を寄せ合い見つめる二人。
二人はこれ以上ないほどの感性が似ている。長い月日一緒に仕事をしているからこそ、あうんの呼吸で伝わるものや、言葉にうまくできなくてもニュアンスで伝わりあうものが多い。
一緒に仕事をすればするほど、二人はそう感じられる瞬間が増えていった。
「これ、今夜中に終わるかな。」
「納期明日の10時だろ?ぎりだな。」
「だね。」
かなり近い距離で目を目をあわせる二人。