宏貴は泣いている恵理を抱きしめながら、「はい」と返事をし、深く深く頭を下げた。

手を振って、恵理たちが見えなくなるまで振り返りながら父は帰って行った。

父が見えなくなったあと、宏貴は恵理を抱きしめたまま言う。

「ここからが俺たちの新しいスタートだな。」
「うん」
「愛してる」
「私も。愛してる。」

すっかり表情の戻った恵理に宏貴は微笑みかける。