想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~

「宏貴と一緒の未来はきっと幸せでいっぱいだろうって思う。その未来をつかみたいっても思う。でも、私にその覚悟ができてない。」
「覚悟?」
「私は器用じゃない。宏貴みたいに仕事もできないし、宏貴みたいに要領よく何でもこなせない。不器用だしわがままだし、自分中心だし。一つに集中すると周りを考える余裕がなくなっちゃう。」
「何言ってんだよ。」
恵理は涙目になりながら話を続ける。

「いつか宏貴に嫌われたら、私立ち直れない。」
「え?」
「いつか私より好きな人ができて、宏貴に背を向けられたら、私立ち直れない。」
初めて聞く言葉に耳を傾けながら、宏貴は前に聞いた恵理の父の話を思い出していた。

「だったら、プロポーズに返事をして、宏貴を自分に縛りつけちゃえばいいとかずるいこといっぱい考えた。」
「ずるくないじゃん。」
「ずるい。ちゃんと覚悟できてないのに、何年も私に宏貴を縛り付けて。」
恵理の瞳から涙があふれ出す。