たくさんの観葉植物がある空間は、心が安らいだ。
「緊張しなくていいですよ?ここでの話は誰にももちろん口外はしません。世間話でも、愚痴でもなんでもいいんです。まずは、美園さんがこの部屋から出たあとに、少しでも気分が落ち着いたりすっきりとしてくださればいいなと思っています。それにご覧の通り私はただの老人だと思っていただいて結構です。事実ですから。」
”診察”や”医師”というワードだけでも緊張していた恵理。
少しずつ体の力が抜ける。
「私は愛する妻がいましてね。でもアルツハイマー型認知症がすすんで、今では妻は私のことをただの”老人”だと思ってる。毎日やけに自分をかまってくる少し厄介な老人程度に思われているかもしれません。それでも、私は幸せなんですよ。」
柔らかい口調のまま恵理を見て話しをする磯貝医師。
恵理は懐かしいような、あたたかい雰囲気にのまれて、話に聞き入っていた。
「幸せの基準なんて人それぞれでしょう。きっと昔の病気になる前の妻が今の状態を知ったら、きっと幸せなんて思ってくれないでしょうが、いいんです。今、妻が温かい日に大好きな羊羹を庭で食べて笑ってくれること、その隣に座って好きな囲碁の勉強をする私。これが一番の幸せなんです。時々私の方を見る妻の瞳に自分がうつる。最高の贅沢です。」
「緊張しなくていいですよ?ここでの話は誰にももちろん口外はしません。世間話でも、愚痴でもなんでもいいんです。まずは、美園さんがこの部屋から出たあとに、少しでも気分が落ち着いたりすっきりとしてくださればいいなと思っています。それにご覧の通り私はただの老人だと思っていただいて結構です。事実ですから。」
”診察”や”医師”というワードだけでも緊張していた恵理。
少しずつ体の力が抜ける。
「私は愛する妻がいましてね。でもアルツハイマー型認知症がすすんで、今では妻は私のことをただの”老人”だと思ってる。毎日やけに自分をかまってくる少し厄介な老人程度に思われているかもしれません。それでも、私は幸せなんですよ。」
柔らかい口調のまま恵理を見て話しをする磯貝医師。
恵理は懐かしいような、あたたかい雰囲気にのまれて、話に聞き入っていた。
「幸せの基準なんて人それぞれでしょう。きっと昔の病気になる前の妻が今の状態を知ったら、きっと幸せなんて思ってくれないでしょうが、いいんです。今、妻が温かい日に大好きな羊羹を庭で食べて笑ってくれること、その隣に座って好きな囲碁の勉強をする私。これが一番の幸せなんです。時々私の方を見る妻の瞳に自分がうつる。最高の贅沢です。」



