きらめきテレスコープ

 初めて乗った電車と見たことない景色に、煌野の目はキラキラして見える。
 学校行く以外出歩かないそうで、かなり新鮮らしい。

(喜んでくれているみたいだな…あとは混んでないといいけど…)


 電車から降りて少し歩くと公園に着いた。

「…キレイ…!」

 そこは、木がたくさん植えてあり岩場が組まれて水が流れている、けっこう静かな場所だった。
 平日なのもあって人も少ない。

「…この辺りって、もっと人がいると思ってた…」

「大きめな乗り換え駅が近いのにな!一本乗るだけで、こんな場所があると思わなかった…!」

「…水、涼しい…。私、寒いところは嫌い…すごく暑いところも…。でも、あの公園と、ここは好き…」

 煌野は俺に向き直った。

「ありがとう、布施くん…連れてきてくれて…」

「よかった、煌野が喜んでくれて…!」

 俺と煌野は近くに座り、ゆっくり景色を見ながら、時々しゃべって過ごした。
 昼は近くにあった人の少ないカフェを探して食事して、また時々ゆっくり歩いて座って…

(ずっと、こうしていられたらいいな…)

 歩き廻ったりしなくても、遊園地みたいなのに行かなくても、こうして煌野とのんびり過ごせる…

「煌野、ありがとう。いつも俺に付き合ってくれてさ」

「…布施くんこそ、私といつも一緒にいてくれる…ありがとう…」