「他に誰か誘っていたりする?」
「ううん、誰も誘ってないよ」

「せっかくだしこれから誘おうか?涼雅とか、たぶん暇していると思うし」

「え……」


 神田くんはスマホを取り出そうとしていたため、咄嗟に手首を掴んでしまった。


「未央?」
「私と二人は嫌、ですか……?」

「……っ、そんなことは」
「私は神田くんと二人で過ごしたい……ダメ?」


 この気持ちが伝われば良いなと思って神田くんを見上げる。
 
 これでダメなら諦めるしかない。


 神田くんは私と二人で過ごすのが嫌なのかもしれない。
 そうだとしたらかなりショックだけれど、一緒にいられるだけでも十分贅沢なのだ。



「あー、それはズルいかな未央」
「……へ」

「どうなっても知らないよ。俺は忠告したからね」


 神田くんは乗り気じゃないのかなと思ったけれど、私の家に行くのに抵抗がないみたいだった。

 そういえば、両親がいないときに神田くんが家に来るのは初めてな気がする。


 そう思うと少し緊張が増してしまったけれど、一緒に過ごせる嬉しさの方が勝っていた。