「れ、連立方程式……」



この計算は、とても、とても……。



「なんて素晴らしいんだ…!!」



ペンが紙の上で踊るかのように舞い、この手は見たこともないほど高速で動く。



「かっ、感動した!! 桜さん感激!!」



叫びながらすべて解いていく。



「桜さん~もう少しでできるから早めに下りてきてね~」



そんな呼びかけも耳に入らず、興奮しまくっていた。



最終的に……。



「なっ、なんだと…!! 9が何度も並ぶ……。

そういえば、ココナッツが自分を待っている…!」



ふと気が付くと、お腹の中身が空っぽ。



「腹を満たさなければ、勉強はできぬ!!」



そう言ったが、あと1問だけ解くことにした。



「勉強って幸せだなぁ~」



完全に計算モードになった、その時だった。


ピントが合わなくてぼやけているが、何か黒いものが数学ノートへ着地しようとしていた。



「だめです! これに触るなぁ!!」



とりあえずノートは救った。


懲らしめてやろうとその黒いものにピントを合わせる。



「うほ…? ……うわぁぎゃーーー!!!!」


「あら? うちの家に猿はいなかったわ。一体誰が…?」