1

「茉白、頼んだ…!!」

奏羽(かなは)め絶対恨んでやる…!!引き受けてくれるような仲のいい後輩がいないからって僕に頼むなんてどうかしてる。しかも1委員会の委員長ならまだしも(それも嫌だけど…)よりによって生徒会長なんて…そもそもこの学校の制度がおかしいんだ…前会長の指名制じゃなきゃ僕が生徒会長をやるなんてことになるはずがなかったのに…

「でも、なっちゃったもんは仕方ないか」

やるからには奏羽が作り上げてきたこの生徒会をいい形で残す。それが僕の役割だ。でも、どんなにやる気になっても1人じゃどうにもならない…まずはメンバー集めからやるか。
生徒会の本格始動を3日後に控えているにもかかわらず、今現在の生徒会メンバーは僕1人。前任の生徒会役員は全員3年生だし、内向的な性格の僕は知り合いがとにかく少なく、メンバー集めに苦労していた。
ようやく1人検討をつけ、話をしに来たところ…

「分かるよね?あんたなんかが茉白先輩とつり合うわけないの」

女子の修羅場に出くわした。しかも、なんか僕のことで揉めているっぽい。しかも、ただの揉め事ではなく構図的にはいじめに近い形になっている。本当なら逃げ帰りたいところだけど今帰ったら生徒会が本格的にやばい…!

「よし」

心を決めた僕は小さく呟いて1歩踏み出した。

「夜河風羽(よるがふう)さん、ちょっと用があるんだけどいいかな?」

「茉白先輩!?もしかして、今の聞いてましたか…?」

「何も?」

もう揉め事はゴメンだと思っていたそばからのこれだったので誤魔化してしまった…本当は生徒会長として仲裁しなくちゃいけないのに…

「じゃあ、私は行くので」

「は!?まだ話は終わって…!!」

風羽を怒鳴りかけた女子はそこで言葉を止めた。おそらく僕がいたからだろう。なら、少しは役に立てたかな?じゃなくて!

「風羽さん、今僕話あるって…」