『家族の問題は、他人が口出しできることじゃない。余計にややこしくなるだけだから』

 久我君が言っていたのは、こういうことだったのかもしれない。

「お母さんたちが厳しくなったって聞いたけど、本当?」

 答えられなかった。

 お姉ちゃんに知られてしまった戸惑いとか、星那がそこまで話していたことに対する怒りみたいなものとか、いろいろな感情が混ざっていた。

「本当なんだね」

 お姉ちゃんの切なそうな声が聞こえてきた。

 今の無言で、肯定していると思われてしまったみたいだ。

 私はそのせいでますますなにも言えなくなって、お姉ちゃんは言葉に困っているのか、互いに無言になってしまう。

 はたから見れば、私は黙って立ち尽くしているだけだ。

 横を通っていく人が不審そうに見てくるから、それに気付かぬふりをしながらも、歩き始める。

「それ、私のせいかも」

 しばらく無言が続いていて、さっきとは違う意味でなにを話せばいいのかわからなくなっていたら、お姉ちゃんがまた悲しそうな声で言った。

「どうして?」

 きっかけは確かにお姉ちゃんが家を出たことだった。

 でも、お姉ちゃんが原因だとは思えなかった。

 詳しく聞きたかったけど、お姉ちゃんは話すのを躊躇っているようだ。