するとその子はクラスの中でも彼女と仲が良かったそうで、今日は休みだと教えてくれた。しかし…。

「多分、もう学校に来れないんじゃないかな?また体調崩して入院したって担任が言ってたし」

入…院?体調不良?
そのことを僕は初めて聞いた。

「元々身体の弱い子だったし、でも最近すごく楽しそうだったのにね」
「そうだね。携帯見つめて嬉しそうに笑ってたね」

お礼を言ってその教室から立ち去る。
次に僕が向かったのは職員室。
彼女の担任だったら彼女が入院している病院を知っているかもしれない。

「失礼します」
「何だ?何かあったか」

僕は彼女の担任に彼女の居場所を聞いた。
仲良かったのかと聞かれたから、よく遊びに行く程度にはと答えた。
彼女の担任は彼女が入院している病院を教えてくれた。
放課後、僕は彼女のいる病院へと向かった。

病院に行った結果…彼女には会えなかった。
受付で彼女の病室を聞いた時、彼女からの言伝と彼女が書いたらしい手紙を受け取った。

家に帰りベッドに寝転がりながら受け取った手紙を読む。
そこには彼女の思いが綴られていた。

『始まりは貴方への一目惚れでした。
ㅤ貴方が人気者であることはずっと知ってました。
 親友にも叶わぬ恋だと言われ慰められました。
 しかし、私はどうしても貴方への想いを諦めることも断ち切ることもできませんでした。
 たくさんの人が貴方に色んな感情を向けました。
 私自身もその1人で、告白されてる場面も偶然ながら見かけたこともあります。
 女子生徒が立ち去ると貴方は疲れてるような表情を見せました。
 その表情を見て私は貴方へ想いを断ち切ろうと決意しました。』

涙の痕が便箋に残っている。
彼女は涙を流しながらこの手紙を書いたのだろうか。
僕は手紙を読み続ける。

『今日で最後、今日で最後と頭で考えながら私はこっそり貴方の教室を覗きに行きました。
 でもそこに貴方はいませんでした。
 私以外の生徒もがっかりした様子で各々去って行きました。
 どうしたら貴方に会えるだろう、そう考えて数日が経ったある日私はお昼休みに貴方の背中を見かけました。
 どこに行くのだろうとこっそり後を追って踊り場に辿り着きました。
 ごめんなさい。本当は貴方に会って直接言わなければいけない言葉だけれど、屋上に来たというのは嘘です。
 本当は貴方に会いに行きました。