「総司さん····!」

私は振り向かず、

平静を装い歩いた。

決して振り向かずに。

もう一生、会わないように。

「あれ?総司?」

お千代さんと別れると

平助に会った。

あの日、怒鳴ってからも

平助は理由も聞かずいつも通り。

優しさからか、馬鹿なのか。

「偶然ですね。」

「ゆきちゃんの

お父上に会いに行ってたんだ。」