逃がすことだってできる。

どうか、宿屋は嘘であってくれ。

もう暗くなった頃、

手紙に書かれていた宿屋に着いた。

「なんでっ····

いるんですか···!」

山南さんは笑っている。

「逃げてください。」

私は山南さんに言った。

「君は追ってでしょう?

逃がしてはいけませんよ。」

山南さんは私と共に

前川邸へ戻った。