第1章:決意

今日は4月3日。高校の卒業式だ。桜こそ咲かなかったものの、空は私たちの門出を祝うように、見事な青空を見せてくれた。

「桃〜ほんとにもう行ってしまうん?」
「うん、でも大丈夫や!またすぐに会えるから!」  
私中村桃(なかむら もも)は、今日この第二の故ともいえる土地を離れることになる。
父の転勤が決まり、本来なら高2の春に引っ越す予定だったが、なんとか卒業まで待ってくれた。

友達と離れることはもちろん寂しい。
それでも引っ越すことを決めた理由があった。

これでやっと洸太とお別れできる。
世界で一番大好きなあなたと…