「あ、そうだこれ」

洗い物を終えて、律さんが取り出したのは薄い紫色の料理のレシピを入れている見慣れたファイルで。

「さっき、野菜の肉巻きを作ってて、味付けの調味料の配合を調べようと思って」

そうしたら、これが。

言いながら、律さんが手のひらの大きさの1枚の紙を見せてくれた。

見せられて思い出した、去年のこと。

ふたりで過ごす、はじめての冬。

買い物に行くのに作ったメモ。

私の字で牛乳、玉子、豚こま、白菜、お豆腐。

その横に、ビール、水菜、ネギ、キムチ、ゴマ油。これは律さんの字で。

お鍋にしようと買い物のメモを作っていたら、隣に来た律さんが足りないものを書き足してくれた。