我慢の限界は、突然やってくる。

もっと、もっともっと。

自分の中の感情は、大きくて欲張りなことに気がつく。

律さんに出逢えたことで、自分には自分も知らなかったたくさんの感情があることに、気がついた。

何度も何度も気がつかされた、その刹那。

律さんのくちびるに、くちづけている。

長い間だったのか、はたまた驚くほど短かかったのか。

自分では判断がつかない時間を刻んで、離したくちびる。

見つめたら、私の唾液で光っていることに気がついたとたんに、襲ってくる恥じらいの気持ち。

詩さん。

ちいさなちいさな、私の名前を呼ぶ律さんの声音。

その声が聞こえた瞬間にはもう、律さんの胸の中に抱き寄せられている。

ぬくい体温はどこまでも、気持ちがいい。