一気にグラスを煽る律さん。

「おーっ、軽い飲み口でなかなかいいねぇ」

そんな風に微笑んでくれた。

たとえば、自分の好きなものが相手も好きとは限らなくて。

また、その逆も然りで。

無理に好きになる必要はないけど、いちどくらい経験してみてもいい。

そうやって日々、私にシアワセをくれる律さん。

「なに見つめてるの?あ?さてはあなた、オレのことが大好きでしょう?」

またも、イタズラっコの目に見つめられる。

「…ん…、」

返事の代わりに身を乗り出して、キスをした。

そっと離したくちびる。

同じビールの味がする。

目を合わせたらまたも、自然と出る笑顔。

「律さん今、なにを考えてるんですか?」

「ん?ビール半分じゃ足りないなぁ、って」

なんて、真面目な顔で返すから笑ってしまう。

「じゃあ、買いに行っちゃいます?」

「いいですねぇ」

またもふたり、手をつないで歩き出す。

さっき落としたオレンジ色を拾いながら歩こう。


_オレンジ、黃、緑、青、藍、紫、赤_