律さんが少し缶をかかげて、私にビールをすすめてくれた。

少し、目礼して氷の入ったグラスを差し出した。

注がれる黄金色の液体を見つめた。

今度は缶ビールを受け取って、律さんのグラスへ。

注いでいる歳中にふと気がついて、注ぐのを躊躇う。

「律さん、氷…」

普段からビールに氷を入れて飲むのが好きな私と、そのままストレートに飲む律さん。

「たまには、あなたの好きなことがやってみたくて」

そんな風に笑う横顔は、キレイだ。

律さんの前髪を朝の風が優しく乱してゆく。

乾杯をして、ふたり一緒にグラスに口をつけた。