「本当は、あなたを迎えに行ってから入ろうと思ってたんだけど、今日撮影で汚れたから。あなたの同僚に会うかもしれないし、第一、あなたに汚いまま会いたくなかったから。意を決して風呂に入ったら物音がした気がして。だから、あなたが帰って来てくれてほんとうに良かった」

はーーっ。大きくため息をついた律さんは、

ね?微笑んで、私の顔を覗き込んだ。

「オレはあなたがいてくれないと、なんにもできないよ」

言いながらまた、私を強く抱きしめてくれた。

「もちろん私も、です」

囁き返したら、律さんと目が合った。

「律さん、顔赤い」

赤く染まっている頬は、照れているからなのか、のぼせたからなのか。

「あなたも赤いですよ?」

私の鼻を指先で摘みながら言う律さん。

「へへ。お土産に焼き鳥買ってきたんです。早く上って、冷たいビールと一緒に食べましょう」

「おっ。いいですねぇ」

お互いに赤い頬のまま、手を繋ぎながら、バスタブから同時に立ち上がる。

私と律さんのシアワセは、続いてゆく。



_赤、オレンジ、黃、緑、青、藍、紫_