私は、夜のドライブが好きだった。
目的もなく、好きな音楽かけて、歌いながら、喋りながら、流れていく景色を見て走るのが好きだった。
夜のドライブでは、いつも夜景の綺麗な場所に連れて行ってくれる。
時には山だったり、時には海だったり。
真っ暗な中、ビルや鉄塔の灯りが散りばめられて宝石のように見える。
私が、喜んでると彼は満足そうに「良かったね」って微笑む。
山道を下っていると、鹿がいた。
路上駐車している人が、鹿に何か食べ物をあげている。
私は、鹿の写真を撮り、またそれもインスタにあげた。
私は、彼との時間が少なすぎると、よく拗ねていた。
彼と居ると、時間が過ぎるのが早いのだ。
もっと一緒に居たいよ。
でも、釣りに行かないでとは言わなかった。
彼の唯一の趣味だから。


