「じゃあ、罰ゲームってことで静の秘密を聞かせてもらおうかな〜。それも誰にも言えないレベルのやつ!」

悪魔のような悪い笑顔を浮かべ、アンジー・カンダーソンが言う。そんな悪い表情にもドキッとしてしまう自分がいるんだけど……。

胸に手に当てても、そこには僕のほしい柔らかくて膨らんだ胸はない。手も全然小さくないし、ゴツゴツしていて、僕が望む手じゃない。

ドクドクと心臓がうるさく、冷や汗が頬を伝う。僕が誰にも言えない秘密なんて、自分が一番わかってる。でも、それを言ったら……。

僕は拳を握り締め、椅子から立ち上がると全速力で走ってアンジーから逃げることしかできなかった。



何故僕が逃げることにならなければいけないのか、最初から説明しようと思う。

僕の名前は小日向静(こひなたしず)。十九歳。アメリカのワシントンに留学している。性別は……男。

「ワシントンでも桜なんて見れるんだね」

「この桜並木、綺麗だろ?日本が恋しくなったか?」