「茉莉、私は茉莉の背中を押すことしか出来ないの。最後の判断を決めるのは茉莉自身なんだよ?私は、どうすることも出来ないの。でもね、茉莉には後悔してほしくない。無駄な恋じゃなかったって笑ってほしいの。ね?」
加奈の目は、真剣そのものだった。
すごく嬉しかった。
加奈の目は真っ直ぐ私の目を見つめていて…
加奈のアドバイスに私は心をだんだん動かされていた。
ふと窓際に視線を移すと、悟史くんが歩いていた。
さっきの女の子とは一緒じゃないんだ…。
私の心は不安でまたいっぱいになる。
悟史くんを見る私に気づいたのか、
「チャンスなんじゃない?大人になるチャンスだと思うよ?」
と、優しく微笑んで背中を押してくれた。
チャンス…?今…?
今、確かに悟史くんの周りに女子が1人も居ない。
気持ちを伝えるのには絶好のチャンスなのかもしれない…。
でも、私…なんて言えばいいの?
そんな気持ちを読み取ったかのように、
「好きってただ一言伝えてきなよっ!」
加奈はそう言った。
…そうだよねっ!加奈っ!
好きって思ってるだけじゃ意味ないんだよ!
伝えてからこそ意味がある。
伝えないで気持ちがわかる人なんて、
絶対に居ないんだもんね。
好きになったからこそ、
気持ち…伝えないと…。
ありがとう…加奈。


