まーくん。本名は岸野磨雄(きしのまお)

幼馴染の双子の弟。

幼馴染の私にとっても、まーくんは弟のような存在だ。




「ねここちゃーーーん。おはようんこーー」


まーくんは残念なことに、未だに下ネタを卒業できていない。


「普通におはようって言ってよ」

「ごめんごめん。で、どうしてねここちゃんがいるの?」


まーくんは首を傾げながら、疑問をぶつけてきた。

私が起こしに来ることとか、何も聞かされていないのかな......。

私がここにいるあらすじを説明する前に、まーくんは納得したように「あー」と言いながら首を振った。


「もしかして、兄貴に用?」

「違うよ。二人を起こしに来たんだよ。遅刻しちゃうよ」

「それはたいへんだ」


まーくんは部屋に戻ってみーくんを呼ぶ。

「兄貴。起きて。遅刻するって」

「ぐーぐー」

みーくんはいびきで返事をした。





「ねここちゃん。部屋に入ってきていいから、兄貴を起こして」

「うん、わかった」

まーくんの許可があり、私は兄弟の部屋に足を踏み入れた。




足元に雑誌や漫画が散乱しており、何故か本棚にあるはずの仕切り版まで床に転がっている。

相変わらず、部屋を片づけないなぁ。




二段ベッドの上の段がこんもりしているのが見えた。

「みーくん、起きて」

下から呼んでも返事がない。




仕方ない。

ベッドの階段を上って、寝床に足を踏み入れる。



ゆさゆさゆさゆさ。

......。


揺すってみたが、起きない。


「みーくん、本当に遅刻しちゃうよ」

「......」

反応なし。





どうしよう。このまま起きなかったら。

みーくんのお母さんってどうやってみーくんを起こしてたんだろう?

揺すっても起きないってことは、殴って起こしていたとかかな......

考えるだけでも恐ろしい。




「んんん、ぐ」

みーくんが寝返りを打った。

布団が引っ張られて、隠れていたものが姿を見せた。

「これって......」

クマのぬいぐるみだった。

どうして、みーくんがこんなファンシーなものをもってるんだろう。

それにしても、このぬいぐるみ、どこかで見たような気が......。





そう考え耽ていると、足首を強い力でひっぱられ、私は体制を崩した。

「うわぁああ」

背中から思いっきりベッドに叩きつけられ、何かが私の上を覆いかぶさる。

お、重たい.....




「よう磨雄......よくも神聖なる我が睡眠を邪魔してくれたな」


なぜか私の上からみーくんの声が聞こえる。

えっ? えっ? どうして?

目を覚ましたみーくんが私に馬乗りになって腕を〇△□※※

「って、あ、葵??」

「みーくん......私......そんな......」

「あ、あ、葵なんでここにいるんだよ。てっきり磨雄かと」