私は幼馴染の双子の兄の方が好きなんです



弥生ちゃんと解散した後、予定のない私はすぐ家に帰って、明日に備えて早く寝ることにした。

......。

......。


楽しみ過ぎて、眠れない。


ただ今の時刻は、23時14分。

そろそろ寝ないと、明日寝不足のままデートに行くことになってしまう。

寝不足で行くと思考力が低下し、いいムードな時に空気読めなくなったり、ふと余計な一言を言ってしまうかもしれない。

そんなことしてしまうと、せっかくのデートが台無しになる。


加えて、寝不足は美容の敵だ。

肌はカサカサになったり、シミやクマができるらしい。

みーくんにそんな私を見せたくない。



と寝不足について語ってみたけど、それもこれも今見ている『成功率100% デートの極意』という雑誌に書かれていること。

私は雑誌のページをめくる。

見開きいっぱいに男女がキスしている画像が現れる。


「わあ、すごい」

私は思わず、感動の声があげた。

いいなぁ、私もこんなことしてみたい。

......。

......。

キスしている画像のページを放心状態で眺めること数分。

ガラララという下の階で家族がお風呂に入る音で我に返った。


私は雑誌のページをめくる。

すると、そこに飛び出してきたタイトルに視線が行く。


「キスをしてもらう方法かぁ」

そんな方法があるのかぁ。

あるなら知りたい。


「観覧車の中やカラオケ店などで、二人きりになるのがいいでしょう。そして徐々に声のトーンを上げていき、相手の唇を見つめ、目と目が合えば自然と......」


なるほど、ちょっと妄想で予行練習してみようかな。

すると、私の意識は、脳内にあるライトピンクな世界へ移動した。



ここは脳内。

私は花の庭園をみーくんの手を引いて走る。

「あははははは」

「あはははははは」


私とみーくんは満面の笑み合っていた。

走った先にたどり着いたのは水面の輝く美しい池だった。

その周りには原理は分からない謎の光玉が神秘的に空中浮遊している。


そこで私はみーくんに少しトーンを上げた声で言う。

「ねえ、みーくん、二人きりだね」

「そうだね、ねここ」


私はみーくんの唇を見つめる。

すると、みーくんと目が合う。

お互いの瞳が瞳の中に映って、合わせ鏡のような現象を起こしている。

瞳の中にある無限の世界に吸い込まれるように、そっとお互いの顔が接近していく。


唇と唇が触れるまで、あと1センチ。

あと0.5センチ。

あと0.25センチ。

あと0.0125センチ。


「ねここ、あんまりドンドンしないで。お風呂まで聞こえてたわよ」

一階からお母さんの声が聞こえてきて、世界は一気に歪み、現実に戻される。

聞かれてた?

聞かれてた?

私は恥ずかしくなって布団をかぶった。


「おやすみなさい」