カレー......パフェ......!!!
パフェのイチゴやリンゴの上にかかっているソースは、カレーだった。
私の大好物のカレーと、私の大好物のパフェのミックス!!?
そんなのだめだよ......。
人間ダメにしちゃうよ.....。
そんなの絶対に美味しいに決まってるじゃない!!?
私は口の中から唾液が上がってくる。
今の私はどんな卑しい目をしているだろうか。
まーくんは笑顔で言う。
「ねここちゃん、カレー大好きでしょ?」
私はこくりこくりと2回会釈する。
「これは僕からのプレゼントだよ。おっさんに頼んで作ってもらったんだ」
「た、食べていいの?」
「もちろん」
私はパフェと一緒に運ばれてきたスプーンに手を取る。
そして、カレーのついたイチゴをすくう。
ごくり。
「それじゃあ、いただきます」
「どうぞどうぞ」
ついに、口へ放り込む。
イチゴの甘酸っぱさの後に、程よくカレーの旨味や辛味が打ち消してくれる。
たった一口で、甘い、酸っぱい、辛い、少なくとも3つ以上の味の世界が口の中に展開された。
「おいしい」
私は二口、三口とスプーンに仕事をさせる。
そんな私をみてまーくんはガッツポーズをした。
「どうしたの?」
私はまーくんの行動が理解できず聞いてしまった。
「いや、喜んでもらえて嬉しいなって」
「ガッツポーズするほど嬉しかったんだね」
「本当は裸で歓喜の舞を踊りたいくらいさ」
「ガッツポーズに留めておいてえらいえらい」
私がえらいえらいすると、まーくんは照れて俯く。
私はふと疑問に思ったことを聞いてみる。
「そういえば、どうして。私今日誕生日じゃないのに」
「僕はねここちゃんに、これまでずっとお世話になりっぱなしだからね。今日から恩返しを始めようと思ってね」
「そんな、別に朝ごはんやお弁当を作るというのもこの一週間だけなんだし」
「僕が言ってるのは昨日今日の話じゃないよ。もっと昔。小学生低学年くらいのときから今までのこと」
うーん。
こんなサプライズをしてもらうほどの、お世話したっけ?
......。
確かに私はまーくんを弟のように思ってたから、私は姉っぽく振舞うことに使命感を燃やしてた気がする。
でもお菓子を半分分けてあげたり、近所の犬に襲われてたのを助けたり、釣ったアジの口から針を外してあげたくらいしか思い浮かばない。
そんな些細なことばかりだ。
「ねここちゃんは些細な事と思ってるかもしれないけど、僕にとっては大切な想い出なんだ」
「まーくん」
「だから、このパフェはそのお礼」
「ありがとう。ありがたくいただくね。もう頂いてるけど」
―――――――。

