キス魔、河野浩介に放課後、屋上に広田博を呼び出すように頼んでもらった。
屋上へ向かう途中に、階段のところで文芸部部長の賀来くんとばったり会った。
「あれ? いずみん。文芸部に戻ってくる気になったんスか?」
「違うよ。ちょっと屋上に用があって」
「へえ、青春っスね。俺も見ていいっスか?」
「そんなんじゃないんだよ」と私は深いため息をついた。
「元カレにプレゼント返せって言われて、ここで待ち合わせて返すところ」
「そうなんスね。やっぱり俺も見ていいっスか?」
「なんでよ」
「いやあ、何かのネタになりそうっスからね。いずみんを主人公に」
「私を主人公に小説を書くな!」



