「本当だよ。多分これを書いた人は左利きだね」
「わかるの?」
言われて改めてルーズリーフを見てみるも、イマイチわからない。そもそも左利きの人が書いた文字にどんな癖があるかわからない。
「多分だけどね? ほら、文字が右下がりになってるだろ? これは左利きの人に多い特徴なんだよ」
確かに、言われた通り右下がりになっているように思う。
「でも、これだけで判断するのはどうなの?」
「絞り込んだだけだよ。とりあえず、17人からは2人に絞れた。まずはこの2人にそれとなく聞いて、判断しようってわけさ」
「で、なんて聞くの?」
「『ネックレスなら僕のあげるよ』って」
「それだけ?」
「それだけ」と河野浩介は、また呑気にコーヒーを飲んだ。
「まあ、仕上げを御覧じろってところかな」
そう言うと、河野浩介はスマホを取り出し、右手で操作し、左手でサンドイッチを食べた。