お弁当を食べながら、重松茂に「そういえばさっき言ってた別次元ってどういうこと?」と聞かれたので、私はさっきあったことを説明した。
「ああ、元短歌部の部室か」
「重松くん、知ってるの?」
「知ってる知ってる。賀来くんとも仲良いし、それに長田とも……」と言って、重松茂は口をつぐんだ。
「……ごめん」
「ううん、大丈夫。そうか、あいつ文芸部だったね」
あいつとは、長田治のことだ。元カレNo.15。
「その長田が言ってたんだよ。部長と副部長だけが知ってる秘密の部屋があって、元は短歌部の部室として使われていたって」
「へえ、部長と副部長だけ……」
ということは、あのサルちゃんと呼ばれていた子は、副部長なのか。
「そういえば、小泉は部活してないけど、3年生でもしないの?」
「うん。相変わらずやりたいことないから……」
「そっか。運動神経いいから、ぜひ剣道部にって思ったんだけどな。前に僕に勝ったことあったし」
「まぐれだよ、まぐれ」



