中庭に行くと、重松茂がすでに待っていた。
「お疲れ様。ごめんね、屋上多かったみたいで」
「こっちこそごめん。ちょっと別次元に行ってた」
「別次元?」と重松茂は笑って、私のひざに弁当箱を乗せた。
「はい、小泉の分」
「ありがとう。はい、今日の分」
と言って、私はポケットに入れていた500円玉が入ったポチ袋を、重松茂に渡そうとした。
「いや、本当にいいよ。好きで作ってるんだし」
「いやいや、本当にもらって。うちのお母さんからだし『渡さないと殺すわよ』って脅されてるんだから」
「殺されるのは困るね」と重松茂は苦笑いで受け取ってくれた。
「ありがとう」
「ううん、こっちこそありがとうね。さ、食べよっか!」



