彼は文芸部部長の賀来玲人。メガネをかけていて、物静かそうな性格。でも、実際は明るい性格で、なんで文芸部の部長なんかしてるのかわからないくらい運動神経がいい。2年生の時に同じクラスだった。
「それはこっちのセリフっスよ、いずみんさん」
「いずみん言うな」
「なら、こいずみんの方がいいっスか?」
「いや、和泉でいいから」
賀来くんは、奥にある立派な机に座り、持ってきたお弁当だろうか、デザートだろうか、バナナを食べ始めた。
「ここは文芸部の隠し部屋みたいなもんっス」
「隠し部屋?」
「そうっス。昔は短歌部が使ってたんスけど、今は文芸部と統合してるっスからね。今は俺が使う遊び場みたいなもんス」
「いいえ、カクレ先輩。執筆部屋ですよ」
と、また後ろから声がして、振り返ると、黒髪ロングで、前髪をぱっつんにした女の子が入口に立っていた。
「げ、サルちゃん。どうしてここがわかったっスか?」
「サルって言わないでくださいって、もう何度言ったらわかるんですか!」とサルちゃんと呼ばれた子は、賀来くんを引っ張って行こうとする。
「学校中探してもいないときは、大抵ここにいますからね。さあ、行きますよ!」



