昼休み、手ぶらで私は屋上へ向かう。
瀬花高校の屋上はいつでも開放している。
同じ中学で、公立高校に進学した友達にその話をすると、「うちは入れないよ」とみんな言う。どうやら私立高校の特権らしい。
いつでも開放しているから、もちろん人も多い。屋上のベンチはどこも埋まっていて、2年生だろうか、女子たちがバレーボールをしている。
私はLINEを1通送って、屋上を出た。そして屋上の踊り場の前で返信を待つ。
階段下から弁当箱を持った女の子3人組が上がってきて、道を譲った。
「でも、座るとこ、ないよ?」
と心の中で思いながら。声に出して言えばよかったのかもしれないけど、1年生っぽかったし、あの子たちだけの世界があって、私なんか見えていないようだったから、言わないでおいた。
壁にもたれた。もたれた私の身体は、後ろにのけ反った。
そして、倒れる。



