料理が運ばれてきた。
どれも、300円ほどのメニューばかりで、それでもこうして並ぶと、本当に豪遊しているような感覚になる。
「い、和泉は……」と桜田櫻がぎこちなく言った。
「その、恋とか……してるのかしら?」
わ、出た! 友達の定番トーク。恋バナ!
そういえば、私、あんまり女の子同士での恋バナってしてなかったかもしれない。
青山碧は、あんなだし、メイちゃんや、春乃ちゃんとも、あまりしないような気がする。
なんか、本当の友達みたいで嬉しい。
「まあ、今は……うーん……」やっぱり、頭に浮かぶのは……当枝冬馬……だろうか。でも、
「今は、いいかな、そういうの」
「あら、珍しいわね。もう女子高生でいられるのは、1年もないのよ? そんなのでいいのかしら?」
「まあ、いろいろとあったからね」本当にいろいろあった。
「それより、櫻はしてないの? 恋」
「そ、そりゃ、してるわよ」と桜田櫻は少し恥ずかしそうに言った。