と言って、こっちが受け取るとも言ってないのに、渡して、そのまま横断歩道の点滅した青信号を渡って、あっという間に見えなくなった。 「……帰ろっか」 と坂井海が言った。 「うん」 「よかったね。今度はケンカしないで手に入って」 確かに。でも、今更いらないけど。 そう思いながら、卵の黄身と白身を分けるやつの入った箱を、指でピーンと弾いた。