「良い子のみんな、こんにちは!」とやけに声の明るいおじさんがマイクを手に現れた。
「これからビンゴ大会を始めるからね? このガラガラから出た数字がカードにあったら、折り曲げてね? 縦か、横か、斜めが……」
と今更ながらビンゴの説明をする。
しかし、周りには「良い子」と言われるには、あまりにも大きくなり過ぎた人たちもいる。
その目は至って真剣で、まるで、餅まき大会に紛れ込んだんじゃないかと思うほど、殺気立っている。
「みんな本気だ……」
と思わずいつもの母親ゆずりの癖が出てしまった。
「そりゃそうだよ」と自分に話しかけられたと勘違いした、河野浩介が反応した。
「今回出ている商品のほとんどが500円以上のものばかりだからね。そりゃ気合い入るよ」
あ、うん。そんなことよりもこいつ、ホント勘違い野郎だな。いろんな意味で。
「それではビンゴ大会スタートです! まず最初の番号は……」



