「あれ? 和泉?」
ふと背後で聞き覚えのある声がして、振り返ると、はい、ビンゴ。
「やっぱりいたんだ」
「あれ? なになに? まさか僕に会えると思ってこんなところまで?」
「違う」全然違う。
「たまたまよ、たまたま」
「たまたま? どんなたまたま?」
「説明がめんどくさい。それに」と言い、隣で子どもたちと何やら話をしている坂井海を指差した。
「生憎、一人じゃないので」
「へえ、そういう感じね」と河野浩介は何かを察したように、おそらくとんでもない勘違いをして言った。
「お二人さん、そんな関係だったか」



