「じゃあ、改めて聞くね? 今日の映画はどうだった?」 「そりゃ、もちろん」と坂井海が私の方を向いて言った。 「退屈だったよ」 「……了解です」 聞くんじゃなかった。聞いた私がバカだった。こいつなぞ、放っておいて高橋隆人ともう1回あの映画を観ればよかった。 心の底から、そう思った。