その理由がわかったのは、坂井海が「なんか白けちゃったわ」と言い残して、帰った後だった。


デザートにと用意していた1個500円もするプリンを、食べなかった坂井海の分まで食べながら、青山碧は言ったのだ。


「こないだ、私の誕生日だったじゃん? あいつ、何もくれなかったの」


「そうだっけ?」


「そうだよ。私はあげたんだよ? 去年あいつの誕生日に」


「何あげたの?」


「パンダの柄がついた傘」


「あー、中華街に売ってたあれ?」


「それ。なのに、あいつは何もくれなかったんだもん。あげるよね? 普通」


パンダの柄のついた傘を誕生日にあげる人に、普通の感覚を持ち出されても……とは少し思った。


「私、絶対あいつがプレゼントくれるまで、口利かないつもりだから、よろしく」